産学連携の「共同研究」と「受託研究」の違いとは?その他の連携手法や選び方を徹底解説

新しい技術の開発や現場の課題解決において、大学や研究機関の知見を活用する「産学連携」が注目されています。

しかし、いざ検討を始めると「共同研究と受託研究、どちらを選べばいいのか?」「そもそも費用や権利はどうなるのか?」といった疑問に直面することも少なくありません。

本記事では、産学連携の基本を簡単に解説した上で、特によく利用される「共同研究」と「受託研究」の違いを徹底比較します。

さらに、人材採用やブランディングにも繋がる「寄附講座」や「学生参加型プロジェクト」などの選択肢も紹介し、貴社の目的に最適な連携スタイルの選び方をガイドします。

目次

そもそも「産学連携」とは?(簡単に解説)

産学連携(さんがくれんけい)とは、民間企業と大学(または研究機関)がパートナーシップを組み、互いの資源や知識を活用して新しい価値を生み出す取り組みのことです。

簡単に言えば、「企業の『実用化への情熱・資金』と、大学の『最先端の専門知識・研究設備』を掛け合わせる活動」です。

企業単独では解決できない技術課題を突破したり、大学のアカデミックな知見をビジネスに応用したりすることが主な目的です。連携の形は一つではなく、プロジェクトの規模や予算、目的に応じて様々なメニューが用意されています。

産学連携における「共同研究」と「受託研究」の決定的な違い

産学連携の代表的な手法である「共同研究」と「受託研究」。

言葉は似ていますが、その中身は「一緒にやるか(対等)」か「任せるか(委託)」かという点で大きく異なります。

「共同研究」とは?お互いのリソースを持ち寄る対等なパートナーシップ

共同研究は、企業と大学が共通の課題に対して、対等な立場で一緒に研究を行うスタイルです。

  • 特徴: 企業の研究員と大学の教員がチームを組み、相互に研究費、設備、人員などを出し合います。
  • メリット: 密なコミュニケーションにより、大学の高度な知見を社内に蓄積(技術移転)しやすい点です。
  • 注意点: 役割分担や成果の取り扱いについて、事前の綿密なすり合わせが必要です。

共同研究例:YouTubeを見て笑う人は本当に幸せか? 3万人のデータで挑む「笑いとQOL」の科学【東北大×データシード】

「受託研究」とは?大学へ業務を依頼する委託型スタイル

受託研究は、企業が解決したい特定の課題について、大学に対価を支払って研究を「依頼」するスタイルです。

  • 特徴: 研究の実務は主に大学側が行い、企業は資金提供と仕様の提示を行います。
  • メリット: 企業側の人的リソースを割かずに、専門家の分析結果やデータを取得できる点です。
  • 注意点: 研究プロセスに関与しないため、社内へのノウハウ蓄積は共同研究に比べて弱くなる傾向があります。

【比較表】費用・知的財産権・期間・役割分担の相違点

両者の違いを整理すると以下のようになります。

項目共同研究受託研究
関係性対等なパートナー(共に創る)委託者と受託者(依頼する)
役割分担双方で分担して実施主に大学側が実施
費用双方が分担(直接経費+間接経費)企業が全額負担(直接経費+間接経費)
知的財産権原則として共有原則として企業に帰属または譲渡交渉が容易
主な目的新技術開発、イノベーション創出調査、分析、実証実験、データ取得

また、産学連携では補助金も使える可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。

産学連携の補助金ガイド|中小企業が知っておくべき省庁別制度と採択率の現実

共同・受託だけではない!その他の産学連携手法

「本格的な契約や多額の費用がかかる研究はハードルが高い」と感じる場合もあるでしょう。また、「技術開発」だけでなく、「人材育成」や「学生との接点」を目的とした連携手法も豊富にあります。

学術指導(技術指導):コンサルティング感覚で教授のアドバイスを受ける

研究開発を行うのではなく、企業の抱える技術的な疑問やトラブルに対して、大学教員が指導・助言を行う制度です。

  • イメージ: 技術コンサルティング
  • 手軽さ: 数時間〜数日単位のスポット依頼も可能なケースがあります。
  • 活用例: 「開発中の製品に不具合が出たので原因を知りたい」「最新の技術動向についてレクチャーしてほしい」

寄附講座:大学内に自社の名前を冠した研究部門を設置する

企業からの寄附金を原資に、大学内に特定のテーマを研究する「講座(研究部門)」を設置する制度です。

  • 特徴: 期間は数年単位(3〜5年など)が多く、教員や研究員を新たに雇用・配置します。
  • メリット: 大学内に企業の拠点を持てるため、長期的な研究推進はもちろん、「その分野に興味がある優秀な学生」との接点が生まれ、採用活動にも好影響を与えます。

学生参加型プロジェクト(PBL・ワークショップ):Z世代の感性を活用する

PBL(Project Based Learning)とも呼ばれ、企業が提示した課題に対して、学生がチームを組んで解決策を提案する教育プログラム形式の連携です。

  • 特徴: 授業の一環やインターンシップとして行われ、期間は数週間〜半年程度です。
  • メリット: 共同研究のような高度な技術開発ではありませんが、学生ならではの柔軟なアイデア(商品企画やマーケティング案など)が得られます。また、学生に対して自社の魅力を深くアピールできるため、採用ブランディングとしても非常に有効です。

奨学寄附金:研究室への寄付を通じて関係性を構築する

特定の研究テーマや研究室に対して、企業が寄付を行う形態です。見返りを求めない支援ですが、将来的な大型連携への足がかりや、CSR(企業の社会的責任)活動として活用されます。

自社に合うのはどれ?目的別・産学連携の選び方

選択肢が増えた分、どれを選ぶべきか迷わないよう「目的別」に整理しました。

① 新技術開発・イノベーション創出なら「共同研究」

  • 目的: 自社にない技術と、自社の開発力を融合させたい。
  • 向いている企業: 新製品開発や特許取得を狙うメーカーなど。

② 測定・分析・データ取得なら「受託研究」

  • 目的: エビデンスデータが欲しい、専門機器で分析してほしい。
  • 向いている企業: 具体的で明確な作業依頼がある企業。

③ 長期的な人材確保・企業ブランディングなら「寄附講座」

  • 目的: 特定分野の研究を長く支援しつつ、その分野の専門人材(学生・研究者)と繋がりたい。
  • 向いている企業: 資金力があり、数年単位で業界全体の発展と採用を狙う中堅・大手企業。

④ 販促アイデア・若手採用・知名度向上なら「学生参加型プロジェクト」

  • 目的: 若者のリアルな意見が欲しい、学生に自社を知ってほしい。
  • 向いている企業: BtoCの商品企画を行いたい企業や、新卒採用に力を入れたい企業。

⑤ 現場課題の相談・トラブル解決なら「学術指導」

  • 目的: 本格的な契約の前に、まずは専門家の意見を聞きたい。
  • 向いている企業: 開発現場で突発的な課題を抱えている企業や、中小企業。

まとめ:産学連携は目的に合わせた形態選びが成功の鍵

産学連携には様々な形があります。「共同研究」と「受託研究」の違いを理解し、さらに「学術指導」や「学生参加型プロジェクト」のような選択肢も視野に入れることで、自社の課題に最も適した解決策が見つかるはずです。

まずは、「何を解決したいのか(開発か、分析か、採用か)」を明確にし、大学の産学連携窓口(コーディネーター)へ相談してみることをおすすめします。

産学連携コーディネーターとは?企業が必ず頼るべき3つの理由と上手な活用法

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私たちは、単なる大学とのマッチング業者ではありません。 代表の吉田自身が医学統計の研究者としてプロジェクトに入り、 「どのようなデータを取れば証明できるか(研究デザイン)」 「どの大学のどの研究室と組むのが最適か(マッチング)」 「得られたデータをどう解析し、論文やプレスリリースにするか(アウトプット)」 まで、トータルで伴走支援いたします。

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